STORY・相関図
大和朝廷の時代。政治を取り仕切る豪族の長・凪大王(なぎのおおきみ/山本亨)は妻を亡くしてから心を病み、摂政・猿美弥(えみや/遠藤雄弥)まかせになっていた。大王の子供として生まれた兄弟、海里(かいり/瀬戸康史)と都月(つづき/宮﨑秋人)、猿美弥の娘で幼馴染の陽向(ひなた/小芝風花)。天真爛漫、自由のない宮中生活を嫌い、外の世界を見て回りたいと願う海里。対して、都月は生真面目で書物や草花を愛する温厚な性格ながら、兄に嫉妬にも似た劣等感を抱いていた。正反対の2人と活発な陽向は、喧嘩しながらも仲良く暮らす平和な日々。互いを思いやる友情はいつしか淡い恋心となり、それぞれの想いは交錯していく。
それから5年、新たに二つの部族が台頭し、倭国の中央政権である大和王権は存亡を揺るがしかねない危機へと陥っていく。大王はなお御所に籠ったままで、次なる国王の就任を待つ声も出始めていた。
王位継承者である海里は意に介さず、その舎人・出雲(いずも/荒井敦史)とともに宮中を抜け出す。すると突然、茂みから現れた富士丸(ふじまる/前山剛久)と陸奥(むつ/高橋龍輝)が2人に斬りかかってきた。
難を逃れ宮中へ戻った海里は、陽向が野蛮な民族として悪名高い熊曾の真多羅王子(まだら/鈴木裕樹)のもとへ嫁ぐことを知る。「海里があたしを連れて逃げてくれる?」都月を気遣い、応えることの出来ない海里。
ほどなくして婚礼の儀が行われる中、海里は刺客たちに襲われる。追いつめられた海里を助けたのが宮中の片隅にいた黒づくめの男、真多羅の御衛である毘流古(ひるこ/池岡亮介)だった。
血にまみれた婚礼は、海里たちの思いに反して終わりを迎える――。
「日本の神話」とはほかでもない、この「日本」という名の国と「日本人」と呼ばれる人たちの成り立ちです。そこにはとても真実とは思えぬ荒唐無稽な話が並び立ちます。どうせ作り話と切って捨てるのは簡単です。ですがこの国の至るところには、伊勢神宮などの神話の痕跡が今も息づいているのも事実です。
現代で神話を語るにあたり、まるでほら話のような神話群と今の日本を覆う感覚とを、自分なりに結びつけることを動機とすることにしました。「未来」というものをかつてほど思い描くことのできなくなってしまったこの国で、 今一度「未来」というものを見据える勇気と覚悟を描きたいと思います。
脚本/末満健一
相関図・登場人物
【海里(かいり/瀬戸康史)】
生まれながらに王になる運命を背負った、大和朝廷の皇子。自由を愛する性格ゆえ自らの定めを受け入れられず、周囲を翻弄し続ける。人一倍、思いやりの心が強く、優しすぎるためにかえって人を傷つけてしまうことも。戦うことを嫌うが、剣術は超一流。
【都月(つづき/宮崎秋人)】
優しくまっすぐな性格だが、何をやっても兄にかなわないことに劣等感を抱いている。陽向の気持ちを知りながら、密かに思うも叶わぬまま、ますます思いを募らせていく。その一途な恋心は海里への強い嫉妬を生み、兄弟は思わぬ形で向き合うことになる。
【陽向(ひなた/小芝風花)】
海里と都月とは兄妹同然に育った、勝ち気で元気な女の子。海里を思う気持ちはいつしか恋へと変わっていくが、摂政の娘として国の未来のため、その思いを胸に秘め嫁ぐことを決意する。くしくも、3人の運命を大きく狂わすきっかけとなる存在。
【真多羅(まだら/鈴木裕樹)】
大和と敵対する野蛮な民族・熊曾の第14皇子。女子供も容赦なく手に掛ける極悪非道な男。側妻から産まれた末弟であり、生まれ育った環境から抱える闇は深い。野心のために陽向との政略結婚を大和に持ちかける。
【出雲(いずも/荒井敦史)】
海里の舎人として幼い頃から仕える。舎人ではあるが、海里とは親友同然の仲で、自由奔放な海里にいつも手を焼き、兄弟喧嘩の仲裁に入ることもしばしば。しかし、海里の真の姿を理解し、尊敬の念を抱いている。忠誠心が厚く、信頼のおける男。
【毘流古(ひるこ/池岡亮介)】
熊曾の皇子・真多羅の護衛の者として真多羅と陽向の婚礼の席では襲われた海里を助けるが、実は思惑が。この世の全てを恨み、異形の姿と圧倒的な強さで恐れられる。海里、都月とは驚くべき関係が…。
【富士丸(ふじまる/前山剛久)】
大和の農民で陸奥の兄。真面目な性格で、貧困の生活の中でも前向きに明るく生きる。
【陸奥(むつ/高橋龍輝)】
大和の農民で富士丸の弟。特徴的な喋り方をし、勘違いが多い。兄想いで常に富士丸と一緒に行動する。
【猿美弥(えみや/遠藤雄弥)】
凪大王の摂政。海里、都月の幼馴染である陽向の父。品格と洞察力に優れた戦士。凪大王が宮廷に引きこもって以来、摂政として国政を取り仕切り、海里・都月に対しては、師であり父であるかのように、わが子のように厳しく導く。国を想うが故、考え抜いた戦略は果たして奇策でしかないのか?
【凪大王(なぎのおおきみ/山本亨)】
大和の国の豪族の長で、海里と都月の父。かつては国の政治のすべてを取り仕切る大きな器の王であったが、最愛の妻を亡くしてから心を病んでいる。政治の全てを放棄し宮廷に引きこもる理由とは何なのか?